プロパンガスの「全国平均の基本料金」は公表されていません。公表値から計算で出しました
「基本料金2,600円と言われました。高いでしょうか」 「4.6m³で6,674円でした。高いですか」
こういう質問に答えるには、比べる相手の数字が要ります。
ところが、プロパンガスの「全国平均の基本料金」も「全国平均の従量単価」も、公表されていません。 公表されているのは「10m³使ったら合計いくら」という総額だけです。
ただ、総額が4つ公表されているので、計算で出せます。やってみます。
この記事の「公表値」と「私が計算した値」を、はっきり分けて書きます。 計算したほうは公式の数字ではありません。公表されている総額から、私が引き算して出したものです。 考え方の確かめには使えますが、根拠として人に示すものではありません。
公表されているのは、この4つだけです
石油情報センターが毎月調べている一般小売価格(全国平均)です。基本料金と消費税を含んだ総額です。
| 使用量 | 公表されている総額(2026年9月30日調査) |
|---|---|
| 5m³ | 5,984円 |
| 10m³ | 9,815円 |
| 20m³ | 17,081円 |
| 50m³ | 37,305円 |
この4つの中に、基本料金がいくらで、1m³あたりいくらかは書かれていません。
差を取ると、基本料金が消えます
ここが今回のやり方です。
プロパンガスの請求額は、検針票の記事に書いたとおり、こうなっています。
| 請求額 | = 基本料金 + 従量単価 × 使用量 |
基本料金は、使っても使わなくても同じ額です。だから2つの使用量の金額を引き算すると、基本料金が打ち消し合って消えます。
残るのは「増えた量ぶんの、従量料金」だけ。それを増えた量で割れば、その区間の従量単価が出ます。
| その区間の従量単価 | =(多いほうの総額 − 少ないほうの総額)÷(多いほうの量 − 少ないほうの量) |
やってみた結果(私の計算です)
| 区間 | 金額の差 | 量の差 | 1m³あたり |
|---|---|---|---|
| 5m³ → 10m³ | 3,831円 | 5m³ | 約766円 |
| 10m³ → 20m³ | 7,266円 | 10m³ | 約727円 |
| 20m³ → 50m³ | 20,224円 | 30m³ | 約674円 |
たくさん使うほど、1m³あたりが安くなっているのが数字で見えます。 これは全国平均の記事で触れた逓減(ていげん)という仕組みです。実際にいくら下がるのかが、これで分かりました。
いちばん多くの家が当てはまるのは、真ん中の「10m³→20m³」の区間だと思います。1m³あたり約727円です。
基本料金のほうは、1つの数字には決まりません
同じやり方で基本料金も出せそうに見えます。総額から「単価×使用量」を引けばいいからです。
やってみると、こうなりました。
| 使った単価 | 計算 | 基本料金として出てくる額 |
|---|---|---|
| 766円(5〜10m³の区間) | 9,815 − 766.2 × 10 | 約2,150円 |
| 727円(10〜20m³の区間) | 9,815 − 726.6 × 10 | 約2,550円 |
| 674円(20〜50m³の区間) | 17,081 − 674.1 × 20 | 約3,600円 |
3つとも違います。
これは計算を間違えたからではありません。単価が使用量で変わる(逓減する)ので、「基本料金+一定の単価」という単純な形になっていないのです。
だから、基本料金は1つの数字には決まりません。おおよそ2,100円から3,600円くらいの幅に入る、というところまでしか言えません。
ここを「全国平均の基本料金は2,550円です」と言い切るサイトがあったら、疑ってください。 公表されていない数字です。どう計算したかを書いていなければ、確かめようがありません。
冒頭の2つの質問に、これで答えられます
「基本料金2,600円は高いか」
計算で出た幅が約2,100〜3,600円です。2,600円は、この幅の中にあります。 地域差も大きいので(北海道と関東で2,400円以上の差)、2,600円だけを見て高いとは言えません。
「4.6m³で6,674円は高いか」
全国平均は5m³で5,984円です。4.6m³ならこれより少し安くなるはずの量で、6,674円は約700円高いことになります。
ただし、これだけでは「ぼったくり」とは言えません。地域によって平均が違いますし、設備費がガス料金に乗っている場合もあります(無償貸与と、2024年に変わった法律のこと)。
自分の検針票でやる手順
ここからが本題です。同じ引き算を、自分の検針票でやれます。
| やること | |
|---|---|
| 1 | 使用量の違う月の検針票を2枚用意する(冬と夏など、差が大きいほうが正確です) |
| 2 | (多い月の請求額 − 少ない月の請求額)÷(多い月の使用量 − 少ない月の使用量) |
| 3 | 出た数字が、あなたの従量単価です |
| 4 | 上の表の約727円(10〜20m³の区間)と比べる |
検針票に単価が書かれていなくても、2枚あれば出せます。 単価を書かない会社があることは検針票の記事に書きました。
2枚の間に値上げがあると、この計算は狂います。 連続した2か月でやるのが安全です。それでも値上げ通知が来ていた月をまたぐとずれます(ガス会社から値上げ通知が来たら、まず確認すること)。
灯油や電気と比べたいとき
出した単価は、1MJあたりの値段に直すと他の燃料と比べられます。やり方はガス暖房・エアコン・灯油、どれが安いかに書きました。プロパンガスは1m³が約100MJです。
| 区間 | 1m³あたり | 1MJあたり |
|---|---|---|
| 5〜10m³ | 約766円 | 約7.7円 |
| 10〜20m³ | 約727円 | 約7.3円 |
| 20〜50m³ | 約674円 | 約6.7円 |
灯油のほうは1Lが約36.5MJなので、こうなります。自分が買っている値段の行を見てください。
| 灯油の値段 | 1MJあたり |
|---|---|
| 100円/L | 約2.7円 |
| 120円/L | 約3.3円 |
| 140円/L | 約3.8円 |
| 160円/L | 約4.4円 |
| 180円/L | 約4.9円 |
| 200円/L | 約5.5円 |
この表の範囲だと、灯油のほうが1MJあたり安くなります。
ただし、燃料の値段だけの比較です。給湯器やボイラーの入れ替え費用、灯油を買いに行く・配達してもらう手間、タンクの置き場所は入っていません。 そして灯油には国の補助(2026年10月29日以降で1Lあたり52.4円)が入っています。プロパンガスには国の補助がありません。この差は政策で変わります(2026年の冬、上がっているのはプロパンガスと灯油だけです)。
まとめ
| 公表値 | 5m³ 5,984円/10m³ 9,815円/20m³ 17,081円/50m³ 37,305円(2026年9月30日調査・全国平均・税込) |
| 公表されていないもの | 全国平均の基本料金と従量単価 |
| 出し方 | 2つの総額の差 ÷ 量の差。引き算で基本料金が消えます |
| 私の計算 | 1m³あたり 5〜10m³で約766円/10〜20m³で約727円/20〜50m³で約674円 |
| 基本料金 | 1つには決まりません。約2,100〜3,600円の幅としか言えません |
| 自分でやる | 使用量の違う検針票2枚の差を取る。単価が書かれていなくても出せます |
| 1MJあたり | プロパンは 約6.7〜7.7円。灯油は値段 ÷ 36.5 |
計算した結果、自分の単価が高いと分かった場合にどうするかは、プロパンガス会社を切り替える手順に書きました。各社の条件を項目ごとに並べたものは比較ページにあります。順位は安さではなく、条件がどれだけはっきり書かれているかでつけています。
出典
- LPガス 一般小売価格(石油情報センター・2026年9月30日調査/基本料金および消費税込み)
- LPガス単位換算表(日本LPガス協会)
- 中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置(資源エネルギー庁・2026年10月29日以降の支給単価)
2026年10月29日に、石油情報センターの公表値を見て計算しました。総額の4つは公表値ですが、従量単価と基本料金は私が引き算して出したもので、公式の数字ではありません。計算の式はすべて本文に書いたので、ご自分で確かめられます。価格は毎月変わります(次の公表は11月5日14時)。この記事では、特定の会社が高い・安いという判定はしていません。この記事に広告は入れていません。