2026年の冬、上がっているのはプロパンガスと灯油だけです
この冬のガス代の話を、公的な数字だけで並べます。見通しや予想は書きません。
先に3つだけ。
| 確かめたこと | |
|---|---|
| 1 | 国の電気・都市ガスの値引きは、2026年9月使用分(10月検針分)で終わりました。11月の請求から、値引きはありません |
| 2 | プロパンガスは、そもそも国の値引きの対象ではありません |
| 3 | 前の年の同じ月と比べて、電気代は2.4%下がり、都市ガス代も0.8%下がっているのに、プロパンガスは6.9%、灯油は15.5%上がっています |
1. 国の値引きは、10月の検針分で終わりました
経済産業省の発表に、はっきり書かれています。
経済産業省では、2026年7月から9月までの3か月について、使用量に応じた電気・ガス料金支援を実施します。
値引きの単価も、月ごとに決まっていました。
| 適用期間 | 電気(低圧) | 電気(高圧) | 都市ガス |
|---|---|---|---|
| 2026年7月使用分(8月検針分) | 3.5円 | 1.8円 | 14.0円 |
| 2026年8月使用分(9月検針分) | 4.5円 | 2.3円 | 18.0円 |
| 2026年9月使用分(10月検針分) | 3.5円 | 1.8円 | 14.0円 |
表はここで終わっています。10月使用分(11月検針分)の行はありません。
つまり、11月に届く請求から、値引き分が戻ります。使った量が同じでも、請求額は上がります。 都市ガスを月30m³使う家なら、14.0円 × 30 = 420円ぶんです。
「急に高くなった」と感じたら、まずこれを疑ってください。 値上げでも使いすぎでもなく、値引きが終わっただけかもしれません。 検針票の値引き欄を見れば分かります(検針票のどこを見れば、料金が高いか分かるのか)。
2. プロパンガスは、最初から対象ではありません
上の表に並んでいるのは電気と都市ガスだけです。プロパンガスの欄はありません。
これは今回に限った話ではなく、仕組みがそうなっています。 プロパンガスへの支援は、国が直接値引きするのではなく、自治体に配る交付金を通して行われます。 詳しくは電気・ガス料金の補助は、プロパンガスにも来るのかに書きました。
だから、お住まいの自治体しだいです。やっている県・市もあれば、やっていないところもあります。 「LPガス 補助金 + 市区町村名」で探すのがいちばん早いと思います。
3. 数字を並べると、プロパンと灯油だけが上がっています
総務省統計局の消費者物価指数(2026年9月分・令和8年10月23日公表)の表から、エネルギーの品目だけを抜き出します。 いずれも前の年の同じ月と比べた数字です。
| 品目 | 前年同月比 | 前月比 |
|---|---|---|
| エネルギー(全体) | −0.7% | −1.2% |
| 電気代 | −2.4% | −1.9% |
| 都市ガス代 | −0.8% | −0.9% |
| プロパンガス | +6.9% | −1.3% |
| 灯油 | +15.5% | 0.0% |
| ガソリン | −2.6% | 0.0% |
6品目のうち、上がっているのはプロパンガスと灯油の2つだけです。
そして、この2つには共通点があります。どちらも、都市ガスや電気のような大きな会社がまとめて供給しているものではないということです。プロパンガスは自由価格で、法令上の価格規制がありません。
灯油には、いま国の補助が入っています。 それでも前の年より15.5%高いという数字です。 補助が無ければもっと高いということでもあります。
4. プロパンガスの実額(2026年9月30日の調査)
石油情報センターが毎月調べている一般小売価格です。基本料金と消費税を含んだ金額です。
| 使用量 | 全国平均 |
|---|---|
| 5m³ | 5,984円 |
| 10m³ | 9,815円 |
| 20m³ | 17,081円 |
| 50m³ | 37,305円 |
地域で、かなり違います。
| 地域 | 10m³使用時 |
|---|---|
| 北海道 | 11,672円 |
| 東北 | 10,785円 |
| 中国 | 10,210円 |
| 中部 | 9,700円 |
| 九州及び沖縄 | 9,734円 |
| 近畿 | 9,439円 |
| 四国 | 9,439円 |
| 関東 | 9,254円 |
北海道と関東で2,418円の差があります。同じ10m³でです。
自分の請求額を比べるなら、全国平均ではなく自分の地域の数字と比べてください。 比べ方はプロパンガスの平均価格はいくらか(地域別)に書きました。
5. この冬の気温は、気象庁は「高い確率のほうが大きい」と出しています
気象庁の寒候期予報(12月から2月・2026年9月18日発表)です。
平均気温は、北日本で平年並または高い確率ともに40%、東・西日本で高い確率60%、沖縄・奄美で高い確率70%です。
降雪量のほうも出ています。
降雪量は、北日本日本海側で平年並または少ない確率ともに40%、東・西日本日本海側で少ない確率50%です。
ただし、これは確率です。「暖冬に決まった」とは書かれていません。 60%ということは、40%は平年並みか低いほうだということでもあります。
そして、暖かくてもガス代は上がります。ガス代が冬に上がる最大の理由は気温ではなく水温だからです。 理由は冬にガス代が上がるのは、水が冷たいからですに書きました。
6. この冬の支援は、決まっていません
2026年10月29日の時点で、この冬(2026年12月以降)の電気・ガス料金支援が決まったという発表は、見つけられませんでした。
探したのは次の場所です。
- 経済産業省のニュースリリース(エネルギー・環境/2026年10月29日分まで)
- 電気・ガス料金支援の特設サイト
- 内閣府の経済対策の一覧
- 首相官邸の演説・記者会見の一覧
「無い」ことの証明はできないので、見落としの可能性はあります。ただ、少なくとも上の4か所には出ていませんでした。
ひとつだけ、関係する動きがあります。 2026年10月23日の記者会見で、燃料油(ガソリン・軽油・重油・灯油)の補助について「支援の在り方」を検討するよう経済産業大臣に指示したことが述べられています。 ただし同じ会見で「まだ何も決まったものではございません。」とも述べられています。
灯油を使っている方は、ここが動く可能性があります。
7. で、どうするか
数字から言えることだけ書きます。
| やること | |
|---|---|
| 1 | 11月の検針票を、10月のものと並べて見る。値引きが消えた分を自分の目で確かめる |
| 2 | 自分の地域の平均(上の表)と、自分の単価を比べる |
| 3 | 「LPガス 補助金 + 市区町村名」で自治体の支援を探す。多くは手続き不要で自動的に値引きされますが、確認する価値はあります |
| 4 | 灯油も使っているなら、国の燃料油の補助が動く可能性があるので、11月以降の発表を見ておく |
この記事は「だから乗り換えましょう」と言うためのものではありません。 いま何が起きているかを、公的な数字で確かめただけです。 乗り換えを考える場合の手順と注意はプロパンガス会社を切り替える手順に、解約のときに設備費を請求された場合は最高裁が「全部無効」と判断した事例に書いてあります。
まとめ
| 国の値引き | 2026年7月〜9月使用分の3か月だけ。10月検針分が最後。11月の請求から戻ります |
| 最後の単価 | 電気(低圧)3.5円/電気(高圧)1.8円/都市ガス14.0円 |
| プロパンガス | 国の値引きの対象外。自治体の交付金による支援のみ |
| 前年同月比 | 電気 −2.4%/都市ガス −0.8%/プロパンガス +6.9%/灯油 +15.5% |
| 実額(10m³) | 全国平均 9,815円。北海道 11,672円 / 関東 9,254円(差 2,418円) |
| 今冬の気温 | 気象庁は東・西日本で高い確率60%。ただし確率で、決定ではありません |
| 今冬の支援 | 2026年10月29日時点で、決まったという発表は見つかりませんでした |
出典
- 2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました(経済産業省・2026年6月12日)
- 2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)9月分(総務省統計局・令和8年10月23日公表/表5 エネルギー構成品目の前年同月比及び寄与度)
- LPガス 一般小売価格(石油情報センター・2026年9月30日調査)
- 寒候期予報(気象庁・2026年9月18日発表)
- 中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置等についての会見(首相官邸・2026年10月23日)
- LPガス・特別高圧への支援(資源エネルギー庁)
2026年10月29日に、上の一次資料を読んで書きました。価格も支援も、毎月変わります。この記事の数字は、それぞれの発表時点のものです。LPガスの価格は毎月5日に新しい調査結果が出ます。この記事では、将来の価格の予想はしていません。この記事に広告は入れていません。